お疲れ様です。
大手人材派遣会社で法務を担当している新一です。
「法務」という部署は、字の通りですが、法律に関する業務(例えば、派遣先との契約書のチェックとか、派遣社員さんからが派遣先で困っているときに営業と連携して派遣先に相談するとかをする部署)です。
詳しくはこちらを見てください。
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説明します:「派遣会社の法務って何やるの?」
ちなみに私のプロフィールはこちらです。
人材派遣会社で法務を担当している新一のプロフィールです。
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初めまして。新一です。
さて、仕事をしているときや、ネットで派遣社員の方がOKWAVEやYAHOO知恵袋で相談しているのを見て、「派遣に関する法的な知識が中途半端な状態で知られているなー」と思ったので、住所・電話番号などの個人情報に関する知識をまとめました。
目次をつくったので、知りたいところから読んでください。
■目次
1.【基本】:派遣会社は、法律に書いてある場合以外、個人情報は教えてはいけない。
(1)「そもそも個人情報って何?」
「個人情報を派遣先から聞かれたが断りたい」とか、
「個人情報を勝手に教えられたけど、これって違法じゃないの?」
と思うことがあると思います。
そこで、まず「個人情報」の意味を確認しておきたいと思います。
簡単に言うと、
「個人情報」とは、人間(生きている人に限ります)を特定することができる情報のことです。
例えば氏名です。
※同姓同名の人がいますが、国は氏名でも個人情報に該当する、という運用です。
そのため、
・●●●さんの住所
・●●●さんの家族情報
・●●●さんの電話番号
などのように、だれの情報かわかる場合は個人情報となります。
(2)原則、派遣会社は法律に書いてある場合以外は、派遣先に個人情報を教えてはいけません。
これは、派遣社員に関する個人情報の場合も同じです。
では、「法律に書いてある場合」とはどのような場合でしょうか?
これは、派遣法第35条1項と、派遣法施行規則第28条に書いてあり、次に書いてある通りです(つまり、次のこと以外の個人情報は派遣先に教えたら違法ということです)。
①派遣社員の氏名と性別
→通常のコミュニケーションができるようにするため(つまり「派遣さん」という呼び方はできません)と、性別による配慮(体調不良の場合のお休みや休憩、性別による配慮、トイレ等)が出来るようにするためです。
②派遣社員が無期雇用派遣社員かどうか
→無期の場合は抵触日がないためその確認のためです。
③派遣社員が60歳以上かどうか。45歳以上の場合は45歳以上であること。18歳未満である場合はその年齢
→「60歳以上かどうか」は、派遣労働者が60歳以上の場合は個人抵触日は関係なくなるためです。
・また、派遣社員が45歳以上の場合は、「中高年齢者」に該当し、特別な配慮が必要になるため、その通知を義務としてます。
・18歳未満の場合も法律により特別の対応が必要ですので、通知を義務としています。
(3)例外:本人の同意がある場合など。
(2)で、原則について書きました。
次に、例外を書きます。
派遣社員の方が知っておくとよい例外は、次の3つです。
①法律に書いてある場合(個人情報保護法第23条第1項第1号)
※これは、(2)で書きましたが、派遣法等です。他には裁判所や警察からの照会の場合ですが、この場合は犯罪等をしない限りないので、気にしなくてよいと思います)
②本人の同意がある場合(個人情報保護法第23条第1項)
個人情報保護法はプライバシーや、名誉のために個人の情報を保護する法律なので、守られるべき本人が、「教えてもいいですよ」と言っている場合は、教えても違法とはなりません。
③人の生命・身体・財産の保護のために必要がある場合で、かつ、本人の同意を得ることが困難な場合。(個人情報保護法第23条第1項第2号)
これは、実際に該当する事件がありました。
あまり詳しくは書けないのですが、派遣社員が睡眠薬を大量に飲んで、意識不明になってしまったことがありました。そのとき、救急車を呼ぼうとして、住所を教えたことがありました。
これはまさに、人の生命の保護のために必要がある場合で、かつ、本人の同意を得ることが困難な場合です。
以上より、派遣社員の同意がないのに、勝手に派遣先に住所を教えることは違法です。
例えば、派遣先の担当者が派遣社員に書類を送る、とかで、派遣会社から派遣先に勝手に住所を教えるのは違法です。
派遣会社が派遣社員に送ればいいわけです。
もし、勝手に派遣先に教えられているようでしたら、その派遣会社は変えるか、担当者に「私に確認してください」と注意しておきましょう。
また、安否確認等のために、派遣社員の携帯電話の番号を派遣先に教えてしまうのも違法です。
災害時に安否確認をする必要があるということでしたら事前に本人に教えてもらえるか確認すればいいので、派遣会社が勝手に教える必要はないです。
2.派遣先に個人情報(住所とか電話番号とか家族構成とか)を教える必要はない。
さて、1で書きましたが、基本的に派遣会社は派遣先に、氏名等の個人情報以外を教えてはだめです。
さらに、派遣社員の方は派遣先に、住所、電話番号、家族構成等の個人情報を教える義務はありません。
もし、教える必要があるのであれば派遣法に書いてあるはずですが、そんなことは書いてないです。
3.「そうは言っても、実際に派遣先の人に何て答えればいいの?」という問題について。:無難な回答集。
(1)基本:何に使うかわからない場合は素直に「大丈夫です。ところで何に使うんですか?」と答える。
・納得できなければ、「わかりました。大丈夫だと思いますが、一応派遣会社に聞いてみます。」と答えて、時間稼ぎをする。
さて、法律によると別に派遣先に電話番号や住所などの個人情報を教える必要はないです。
しかし、そういはいっても派遣先は職場ですし、断ったりして人間関係が悪くなったり、契約終了となったりすることが怖くてなかなか断れないのが現状だと思います。
私も法律ではこうだがこれは断らない方がいいよなーと思うような相談が結構あります。
また、派遣先とうまく人間関係をつくって、いい評価を得ている派遣社員さんは、ある程度割り切ってうまく回答していました。
そこで、基本的には、教えるスタンスで受け答えしつつ、「大丈夫ですが派遣会社に聞いてみます」とにこにこしながら回答するのがいいと思います。もちろん教えてもいいと思っている場合は、派遣会社の許可が必要なものではないので、その場で教えてあげて大丈夫です。
※住所は普通使わないので、理由を聞いて答えるのもありです。
・どうしても教えたくない場合は、
「すみません、プライベートはわけたいのでー…」がまだ無難。
多くの場合、変な使われ方はされないですし、単に会社の決まりで何かに登録するくらいでしか使わないのですが、それでも必要以上に個人情報を教えたくない人はいると思います。
ただし、正面から断ると「なんか嫌な人」と思われてしまって、その後の人間関係が悪くなってしまう恐れがありますので、やんわり断ってください。
(2)災害時にそなえて、連絡先を教えて欲しいという場合は、システムに登録するまでは対応する。システムがなければメールアドレスまでは教えた方が無難。
次に、よくあるのが災害時の安否確認のために、連絡先を教えてほしいといわれる場合です。
この場合は、断るのは不自然ですので基本的には教えた方がよいですが、信頼できる同姓の人に教えるか、システムに登録するとかでも十分目的は達成できるはずですので、「わかりました。登録しておきます」といって自分で登録しておきましょう。
(3)住所を聞かれた場合:「住所は使わないはず。」
次に、住所です。
住所の情報を使うことはないはずです。余計な個人情報を教える必要はないので、断りたいところです。
もし日常会話で聞かれたら、「●●●の方です。」といって、少し濁して回答するのが無難だと思います。
(4)教える社員にも注意:異性の社員に教える必要はない。
また、たまに相談がくるのですが、近くのそばの人や、一緒に仕事するなどで、派遣先の異性(多くは男性ですが)に連絡先を聞かれて、その後しつこく連絡がきたり、しつこく誘われたりするケースがあります。
これはストーカーや、セクハラにつながるのですが、事前に予防するためにもできる限り教えない方がいいです。
断れそうな雰囲気だったら断ればよいですが、雰囲気的に無理そうな場合は、派遣会社に確認することにして、派遣会社から断ってもらう、後日女性の上司に教えておく、自分でシステムやエクセルに入力する等の対応がよいと思います。
(5)履歴書を派遣先の人に見られている(かもしれない)場合
また、少し特殊なケースなのですが、過去に3回くらい、派遣社員の履歴書が派遣先で出回っている(かもしれない)という相談を受けました。
派遣会社が派遣先に渡している場合は完全に個人情報保護法に違反しますし、特定行為にも該当し、完全に違法です。
クレームを出してもいい案件ですし、そんな派遣会社は変えた方がいいので我慢する必要はないので、クレームを出してもいいです。
示談を示してくるケースです。
もし、任意で派遣先に提出していたとしても、履歴書を担当者以外の人にも見せてしまう派遣先は辞めた方がいいので、出来る限り事実を確かめて、派遣会社に相談してください。
このとき、勘違いだと思われると評価が下がってしまい今後のお仕事紹介に悪い影響が出るので、「履歴書にしか書いていないことを社員さんが知っていた」という証拠が必要です。
4.鉄則!困った場合は、派遣会社に相談する。
(1)困った場合でも、派遣会社より先に派遣先に相談しないでください。
知られたくないことが派遣先で出回っている場合や、個人情報を聞かれて拒否したことによって人間関係が気まずくなってしまったなど、困ったことに遭遇することがあると思います。
ある程度は派遣社員さんで対応できるのですが、そうはいっても派遣先の上司や周りの席の人には強く言えないのが現実です。
そのため、もし困ったらこじれてしまう前にいったん派遣元に相談してください。
くれぐれも、派遣会社より先に派遣先に相談しないでください。
なぜかというと、派遣先に相談したとしても、派遣先がちゃんと事実確認をしてくれるかわかりませんし、いきなり当事者(例えばしつこく電話番号を聞いてきた社員や上司)に聞いてしまって大ごとこじれてしまうことや、面倒だと思われてしまう可能性があるからです。
すでに派遣先内でこじれてしまった場合、その後に派遣会社に相談しても、派遣先から「派遣社員を交替してほしい」と言われてしまったら交替するしかやりようがありません。
そうすると納得いかなくても、力関係的に無理なので、交替か、契約更新無しになってしまいます。
(2)クレーマーではなく、「周りに気を使う性格で困っている」という感じで相談しましょう。
まず、派遣会社への相談時の注意ですが、基本的に営業さんからの相談を受けていると、クレーマーなのか、正確がよくて逆に困ってしまっている派遣社員なのか、の2つにわけて対応していると思います。
そこで、派遣会社(実際には担当営業さん)にしっかり対応してもらうためには、クレーマーではないと思ってもらうことが必要です。
例えば、次のことを気を付けるといいです。
・担当営業にメールを送るときは丁寧な文章にする。
・連続で送らない(相手の状況を無視しているように見えるため)。
・電話、面談時の言話し方は丁寧にして、服装も派遣会社のHP役場られる資料に従った服装にする。香水はつけない。
もちろん、仕事はしっかりこなしてください。
また、コミュニケーションとしては、ミス(と思われる場合も含めて)した場合はしっかり謝る、派遣先の担当者(人事の偉い人、年上で権力の強そうな人、指揮命令者)には好かれておく、ということが重要です。
5.派遣会社が頼りない場合は、派遣会社変える
(1)結局派遣会社は、派遣先でうまくやってくれる派遣社員を大事にします
納得いかないことはたくさんあると思いますが、結局派遣会社は派遣先の言いなりです(特に事務の場合は)。
※とても専門的なスキルを使う場合は派遣会社の力が強い場合がありますが、基本的には派遣先はお客様なので、派遣会社は派遣先の言いなりです。
そのため、派遣会社が守ってくれる派遣社員は、派遣先うまくやってくれる派遣社員です。
つまり、派遣会社でもめ事を起こさず(派遣先に問題があるとしても)、コミュニケーションも、仕事も無難にこなしてくれる派遣社員です。
そのため、まず、このような信用を得てから、相談するのが重要です。
(2)派遣会社が頼りない場合は、派遣会社変えるのが一番
しかし、派遣会社が頼りない(かしっかり対応してくれない)場合はどうしてもあります。
この場合は、派遣会社は(派遣先もですが)、派遣社員の苦情にしっかり対応するという義務があるのですが、頼りない派遣会社から派遣されている場合、基本的にいい派遣先に紹介されることはないです。
労働局に駆け込むという方法もありますが、解決まで時間かかりますし、とても疲れます。また派遣先を休んだ場合(出勤停止になった場合)は、給料はもらえないことがほとんどです。
仮に休業手当をもらえるとしても、それは給料の半分程度です。
そのため、派遣会社が頼りない場合は、いっそ別の派遣会社に登録して、派遣先を変えた方がいいです。
注意ですが、
次の派遣先が見つかるまでは、できるだけ我慢していた方がいいです。
お金がないと精神的に苦しくなりますし、生活もできなくなってしまいます。また、経歴に間があるとお仕事紹介のときに不利になることがあります。
そこでおすすめの派遣会社を紹介します。
☞新一おすすめの派遣会社です。
ご参考にどうぞ!
また、収入が途絶えないようにするのは生活のためと、精神的に安定することは悪い環境から抜け出すために必要なので、派遣以外にもバイトも候補にいれましょう。
バイトなら、マッハバイトが評判いいです。
なお、「マッハバイト」とは、リブセンスという会社が運営している「ジョブセンス」というサービスがサービス名を変更したものです。
マッハバイトの特徴は、お祝い金の支給と、給料の支給が早いところで、バイトが決まれば全員お祝い金がもらえます(最高1万円、最短で翌日)。
マッハバイトはとてもおすすめです。
次に、失業手当のもらい方について少し説明をします。
もし、派遣先を辞めてしまい、もし仕事がない期間ができてしまう場合は、失業手当をもらう準備をしましょう。
なお、自分の意思で派遣先を辞めた場合は、原則自己都合による退職となってしまいます。
・詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでください。
⇒派遣契約満了(終了)時の失業保険のもらい方と自己都合か会社都合かの判断ポイント。
6.最終手段として労働局に相談する方法もありますが、別の派遣会社に登録してお仕事紹介をもらってからの方がいいです(本当に)
(1)労働局に相談したらどうなるのか?
労働局に相談すると、相談員の方がアドバイスをくれます。
また、斡旋という手続きもあり、斡旋委員という方が間に入って示談の案を提示してくれる手続きもあります。
しかし、両方とも、参加するしないは派遣会社が判断しますし、正面から不満をいうことになるので、示談後も引き続き働くことは難しいです。
(2)「なんで自分は悪くない(むしろ被害者)のに、泣き寝入りしないといけないのか?」と思った方へ。
仕事上、「これは派遣社員ではなく派遣先が悪い(またはいくらか悪い)」と思うこともありました。
しかし、そもそも派遣先はどの派遣会社をつかってもよいので、派遣会社の対応が気に入らない場合は別の派遣会社に切り替えることが出来ます。
そうすると、派遣会社としては、派遣先が確保できず、契約終了となってしまうことがどうしてもあります。
この現状からすると、正面から文句をいってもいいことはあまりないです。
それよりは、別の派遣会社に変更して、派遣先も変えてしまった方がいいと思います。
(3)新一おすすめの派遣会社をまとめました
7.まとめ
①派遣会社は法律に書いてある場合以外は、個人情報は教えてはいけない。
②派遣会社に個人情報を教える必要はない。
③困った場合は、派遣会社に相談する。
④派遣会社が頼りない場合は、派遣会社変えるのが一番
⑤労働局に相談する場合は、前もって別の派遣会社に登録してお仕事紹介を受けておく。
【こちらの記事もいかがですか?】
☞絶対に登録するべき!新一おすすめの派遣会社まとめ。
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