【2020年2月8日更新】
お疲れ様です。
大手派遣会社で法務を担当している新一です。
派遣会社で法務の仕事をしていると、働き方改革に対する派遣会社の対応方針を知ることができます。
そこで、今日は働き方改革関が派遣社員に与える影響について書いていきます。
※なお、派遣社員の方にとって大きく影響を与えるのは、次の2点です。
①派遣法の改正
②交通費の支給について
※交通費を支給しないことの違法性についてはこちら書きましたので、興味のある方は読んでください。
■それでは目次です。
1.働き方改革の概要と派遣社員への影響
では改めて働き方改革について書いていきます。
この記事では詳細は書きませんが、
働き方改革とは
1億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジであり、日本の企業や暮らし方の文化を変えるもの
です。
ようは、日本人全員が社会で活躍することを目標として国の政策ということです。
そのため、派遣社員・非正規社員の仕事に対するモチベーションをUPさせ、派遣社員が活躍できるような法改正がされています。
働き方改革の主な内容は、以下の通りです。
派遣社員に強く関係しているところは、赤字の部分です。
①.働く人の視点に立った働き方改革の意義
②.同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
③.賃金引上げと労働生産性向上
④.長時間労働の是正
⑤.柔軟な働き方がしやすい環境整備
⑥.女性・若者の人材教育など活躍しやすい環境整備
⑦.病気の治療と仕事の両立
⑧.子育て、介護等ご仕事の両立、障害者の就労
⑨.雇用吸収力、付加価値の高い産業への転職
⑩.誰にでもチャンスのある教育環境の整備
⑪.高齢者の就業促進
⑫.外国人材の受入れ
⑬.10 年先の未来を見据えたロードマップ
さて、この記事は派遣社員の皆さま向けに書いておりますので、今日は以下の点に焦点をあててまとめていきます。
①派遣社員の賃金は増えるのか?
⇒タイトル2へ
②派遣社員の交通費派支給されるのか?
⇒タイトル3へ
③派遣社員にボーナスは支給されるのか
⇒タイトル4へ
2.働き方改革により派遣社員の給料は増える予定
■2-1:働き方改革の内容:派遣社員にも同一労働同一賃金を。
派遣社員の賃金ですが、働き方改革により同一労働同一賃金が進められます。
つまり、
同じ仕事をしているのであれば、同じ賃金を支払うべき、
ということです。
これは、労働契約が、「働く代わりにお金をもらえる」という契約であるため、派遣社員であろうと、女性であろうと、若年者であろうと、障碍者であろうと当然です。
そこで、今さらですが法改正により、同一労働同一賃金を定めた法律が規定されました。
(ちなみに、派遣社員についての、同一労働同一賃金を定めた法律は派遣法になります。)
このような動きに対応して、大手の派遣会社は派遣社員に支払う給料を増やすために、派遣先に派遣料金アップの交渉を求めてきました。
うちの会社では、テンプスタッフが派遣社員に交通費を支給することを決定したということで、派遣料金を上げる交渉を求めてきました。
交通費が支給されるとなると、
契約更新を心配しながら働かなくてよくなりますし、派遣先が嫌になったら次の派遣先を探すことができます。
つまり、お金と心の安心につながります。
また、遠くまでいける定期を買うことができるので、休日の行動範囲が一気に広がります。
そのため、テンプスタッフ等交通費支給の派遣会社はおすすめです。
なお、交通費支給に関しては、こちらの記事に書きました。
さて、話を戻して、以下では派遣法について簡単に説明させていただきます。
■2-2:働き方改革の内容:原則として派遣先の正社員の待遇を基準にして、不合理な相違は禁止。
改正派遣法(2020年4月1日から適用される予定です)では、原則として派遣先の正社員の待遇に合わせるよう求めております(改正派遣法第30条の3第1項)。
(※「原則として」というのは、例外があるからです。(3)で書きますね。)
ここでいう「派遣先の正社員の待遇」とは、「基本給、賞与、その他の待遇のそれぞれ」ですので、当然時給も派遣先の仕事内容によってはUPします。
また、項目3と4で書いていきますが、
交通費と賞与も原則として派遣先に合わせますので、仕事内容によってはもらえます。
「仕事内容によっては」というのは改正後の派遣法では、派遣社員の待遇は、原則として派遣先の正社員を基準にします。
したがって、もちろん担当している業務が単純な業務の場合や、責任・負担が軽い場合は、賃金・ボーナスもない可能性はあります。
それは、
「同一労働同一賃金」
だからです。
ただ、派遣先の正社員と同程度の仕事ができれば、給料が少ない場合、ボーナスがない場合は、裁判をして、もらえていなかった分のお金を請求することができることになります。
これは当然派遣先派遣会社も分かったうえで、派遣就業をさせています。
したがって、どんどんスキルをあげて、難しい仕事を担当してください。
そうすれば、給料が低い場合や、ボーナスがない場合や、交通費がない場合に
「正社員と同じレベルの業務やっているのこの待遇は違法ではないでしょうか?」
ということができます。
そうすれば、裁判をしなくても待遇を変更してもらえる可能性が高いです。
(派遣先も派遣会社も負ける裁判をすることはしたくないですし、労働局や労働基準監督署に駆け込まれることを嫌がるからです)。
また、スキルが上がって、より難しい業務をするチャンスがある場合は、派遣個別契約に書いていない仕事をすると派遣法違反になりますので、スキルが上がったら派遣先を変えるか、雇用契約を作り直すよう派遣会社の営業に伝えてください。
残念なことにこの辺を理解できていない営業さんはけっこう多いので、
「業務を変更する場合には、派遣契約や雇用契約を変更することが必要だと思いますがいかがでしょうか?」
と伝えてあげてください。
■2-3:働き方改革の内容:派遣会社の労使協定で派遣社員の待遇を決める方法もあります。
さて、ここで、派遣社員の同一労働同一賃金についての例外について、少し説明させて頂きます。
詳細については、省略しますが、会社と会社の労働者との間で労使協定という一種の約束をすれば、派遣社員の待遇を派遣会社が決めることができます。
「それでは結局派遣社員の待遇はよくならないではないか?」と思う方がいらっしゃるかと思いますが、この労使協定で派遣社員の待遇を定める場合でも、厚生労働省が定める基準と同程度以上でないといけませんので、派遣社員の待遇はよくなるはずです。
3.働き方改革の影響により、派遣社員に交通費が支給される見込み
■3-1:働き方改革により有期の派遣社員には交通費が支給される可能性あり。
改正派遣法により、派遣社員にも交通費が支給される可能性があります。
もちろん最終的には派遣会社の判断によりますが、派遣社員の待遇を派遣先に合わせる場合は、派遣先の社員には交通費を支給しているでしょうから、派遣社員にも交通費が支給される可能性は高いです。
ただし、派遣社員は自分で好きな勤務地を選ぶことができます。
これに対して、通常正社員は、転勤ありのため、勤務地を自分で選ぶことはできず交通費が高くなることが想定されます。
そのため、交通費については、転勤があるかどうかと連動(転勤あり⇒交通費支給、転勤なし⇒交通費支給なし)となる可能性もあります。
ただ、派遣会社ごとに少しずつ異なるので、詳しくは派遣が会社に確認するしかありません。
また、近似ハマキョウレックス事件最高裁判決で、交通費不支給は違法という判決が出ましたので、派遣会社が、有期の派遣社員にも交通費を支給する可能性がより強くなりました。
そして、派遣会社の中でも、大手はもうすぐ交通費の支給を開始する予定と聞いています。
理由は、労働局が大手の派遣会社への指導が強いからです。
ご存知かと思いますが、大手の方が影響が強いので国は大手に厳しく指導やペナルティを与えます。
例えばテンプスタッフ は、無期転換していない派遣社員でも交通費を支給するという方針を聞きました。
なので、
テンプスタッフ に登録して派遣先を紹介してもらえば、交通費ももらえる可能性が高いです。
また、リクルートスタッフィングも交通費支給を決めたと聞いています。
■3-2:働き方改革により、無期の派遣労働者は交通費が支給されます。
さて、次に無期の派遣労働者の交通費についてまとめていきます。
結論から言うと、
無期の派遣労働者は交通費支されます。
理由は、無期の派遣労働者となると、今までのように勤務先を決めることができなくなるからです(ほとんどの派遣会社では無期の派遣労働者用の就業規則に、転勤ありという規定があるはずです)。
そうすると正社員と同じように、交通費も自分の意思に関係なく必要になります。
そのため正社員と同じ条件で交通費をもらうことができるようになるからです。
特に大手は裁判のリスクが避けるため、無期の派遣社員に対しては交通費を支給する方針です。
そのため、テンプスタッフやリクルートスタッフィング等の大手で無期雇用の派遣社員になると、交通費を支給してもらえます。
大手の派遣会社を中心に、おすすめポイントをまとめました。
大手と言っても、それぞれの派遣会社の強みが違うので、
違いを知っておくと、自分が希望する派遣先を紹介してもらいやすくなります。
また、IT系の派遣会社はすでに交通費支給を約束している会社があります。
例えば、エンジニア派遣の「パーソルテクノロジースタッフ」から派遣してもらうと
時給は2500円以上もありますし、交通費は全額支給なので、
1日8時間・週に5日間働くと、月に40万円もらえることになります。
(2500円×8×20=400,000円 ※年収480万円)
年収480万円は、正社員並みです。
パーソルテクノロジースタッフの登録はこちらからできます。
4.働き方改革により、派遣社員のボーナス支給の可能性あり
最後に派遣社員のボーナスです。
ボーナスの支給がある社員は、仕事の裁量や責任・負担が大きい社員ということになります。
ボーナスは転勤の有無も多少は考慮されるでしょうが(転勤ありは仕事への負荷が大きいので)、仕事の責任の大小や、結果に対する責任の有無などによってボーナスの有無が決まります。
5.働き方改革の派遣社員への影響について勉強するには、こちらの書籍がおすすめ。
さて、最後に働き方改革は大きな影響を与えております。
しかし、国の政策を期待しつつも、自分の給料を自分で増やすことも同時進行で進めるべきです。
この記事を書く際に読んだ本をご紹介いたしますので、興味のある方は読んでみてください。
この本を読むと、同一労働同一賃金について勉強できるので、
派遣会社の営業さんが変なことを言っている場合に指摘をすることができますし、
法律の根拠があるので、お給料を上げてもらうための交渉がしやすくなります。
今回の記事の作成のために、読んだ本です。
2000円ちょっとで同一労働同一賃金について勉強できますし、薄くて読みやすいです。
しかも、
著者の水町先生は働き方改革実現会議の構成員をされておりますので、
権威ある本です。
2000円で勉強できますし、今後の働き方改革の動きを勉強するのにお勧めです。
読んでいただきましてありがとうございます。
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