お疲れ様です。
元、大手派遣会社で法務を担当していた新一です。
「法務」とは、契約書のチェックや、社内の法律相談、トラブル等を対応する部署です。
そして、派遣会社で法律に関する仕事をしていると、色々なことがわかります。
ついこの間、今の職場の派遣社員さんが体調不良でお休みをされている、ということを聞きました。
どうやらもともと体調が悪い方のようです。
もしかするとこのまま辞めてしまうかもしれません
辞めてしまったら困るのですが、正直なところ
自分の体が一番大事
なので、しばらく辞めても大丈夫なら、うまく派遣会社とコミュニケーションをとって辞めてお休みされた方がいいと思います。
しかしここで1つ問題があります。
「派遣を辞めるときに診断書が必要か?」
です。
結論ですが、
派遣社員が体調不良で派遣を辞めるときでも診断書は要りません。
しかし、結構派遣会社に診断書を要求されることが多いと思いますし、私も派遣会社で働いていたころは、よく営業さんに、
「派遣社員が体調不良で派遣を辞めるみたいです。派遣先から求められているので、診断書の提出を要求することはできますか?」
と聞かれました。
そして、実際に辞めるときに診断書をの提出を求められることが多いです。
正直なところ、
断りたくてもどう断っていいのか?
そもそも、断っていいのか?
という点について
詳しく知らずに悩んでいる方が多いと思いますので、法律の仕組みについて少し書いていきたいと思います。
1.「派遣を辞めるときに自費で診断書を提出しなくていけない」という義務はない
よく、派遣会社は、派遣先からクレームを受けないようにするために、派遣社員が派遣を辞める時に診断書の提出を、派遣社員に要求してきます。
しかし、派遣先を辞めるときに診断書を提出しなくてはならないということは法律には書いてないです。
そこで、もし診断書の提出が必要ということが書いてあるとすると、就業規則か、入社時に提出する誓約書等の印鑑を押して提出した書類ということになります。
そして、実際に多いのはこのように、提出した書類か就業規則(入社後に渡される「派遣社員就業規則」のようなことが書いてある冊子のことが多いです)に、
「派遣契約の途中で派遣を辞める場合は、派遣社員診断書を提出するものとする」
と書いてある場合があります。
このパターンが多いです。
この場合は、確かに、派遣先を辞める場合は診断書を提出しなくてはいけません。
2.業務命令だというなら、診断書取得にかかる費用は派遣会社が負担するべき。
しかし、就業規則に書いてあるということは、その就業規則を理由に命じたことは、
「業務上の指示」
ということになります。
つまり、
①診断書取得にかかったお金は会社が出さないといけません。
そして、
②その時間は、労働時間になるので、お給料が発生します。
そのため、
もし、派遣会社から、
「派遣を辞めるなら診断書を取得してきて」
と言われた場合は、
「業務指示ですか?」
と確認して、
「業務指示だったら、時給が発生しますし、かかった費用は会社が出さないといけないですよね?」
ということができます。
また、別の返し方としては、
「個人情報になるので、提出したくないです」
という回答をすることもできます。
3.そうは言っても派遣会社との関係を良好に保ちたい。どのように根回しをするべきか?
しかし、そうは言っても派遣会社の営業担当に悪い印象を持たれてしまうと、今後困る可能性があります。
※実際は、別の派遣会社を使うことを考えているのであれば、特に困ることはないです。
一番いいのは、派遣先の人といい関係を作っておいて、派遣先が派遣会社に診断書の提出を求めないようにすることです。
そのためには、先に派遣先に少しだけ相談することになります。
おそらく、普段から体調がよくないことは派遣先の人が知っていると思いますので、びっくりされることはないと思います。
そこで、もし契約途中でやめる場合に、派遣会社から診断書の取得を求められた場合は、派遣先から、
「提出は結構です。」
と言ってもらえるように、することが必要です。
派遣先が要らないと言っているのにわざわざ診断書の取得を求める理由もないですし、派遣先が診断書を求めていない場合は、派遣会社は説得できる可能性が高いです。
どうすればよいかといいますと、
派遣会社に診断書を求められたときに、
「その診断書は、何に使うのですか?」
と聞いてみることです
(何かを疑った感じになると印象が悪くなるので、好奇心的な感じで聞いてください。)
そうすると、
「派遣先に提出します」
といった回答が返ってくると思います。
そこで、
「●●●さん(派遣先の上司)は、私が体調不良でお休みすること知っているのですが、それでも提出は必要なのでしょうか?」
等の言い方をして、派遣先に確認してもらうようにするといいと思います。
これで派遣先に確認してもらえれば、
「●●●さんが体調不良で退職されることは聞いてます。診断書はいりませんよ」
と回答してもらえる可能性が高いです。
一方、どうしても診断書を取得しなければならない場合で、派遣会社と良好な関係をキープしたい場合は、仕方ないので
「派遣先や派遣会社の担当者に迷惑をかけたくないので、診断書の取得に行ってきます。」
と素直に伝えたうえで、
「しかし、お金がないので、今すぐは厳しいです。。。」
と伝えて相談してみるといいと思います。
それでも、何もしてくれないようであれば、その派遣会社を使っていても今後も頼りになる回答はしてくれないと思います。
一方、どうしても、その派遣会社といい関係を作っておきたいのであれば、自費で診断書を取得するしかないことになります。
ここは、残念ながら
「どっちをとるか」
ということになります。
損しながら続けるか、損をしないけど良好な見解をあきらめるか、という場面はよくあると思います。
4.事務系の仕事なら別の派遣会社から紹介してもらえるから、あまり悩む必要はないです。
しかし、自部系の派遣会社で働いていた経験から、大手はどの派遣会社もそんなに差はないです。
そのため、我慢するくらいなら、別の派遣会社に登録してしまった方がいいです。
まず、大手はすべて登録した方がいいです。
私のお勧めの派遣会社はパーソルテンプスタッフです。
テンプスタッフは、営業マンの対応が優しいことで有名です。
また、個人情報の取り扱いには特に慎重になっているため、診断書のように個人情報を提出したくない、という気持ちを分かってくれる可能性が高いです。
5.まとめ
それでは今日のまとめです。
①派遣を辞める場合でも、診断書を自費で取得して提出する義務はない。
②派遣会社に要求された場合は、派遣会社が費用を負担し、かつ賃金も出さないといけない。
③派遣会社と良好な関係を保ちたい場合は、しぶしぶ自費で診断書を取得するという選択しもあるが、ほかにもたくさん派遣会社があるため、いっそほかの派遣会社に登録してもよい。
以上です。
読んで頂きありがとうございました。
S新一